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徳川家康はなぜ江戸に入ったか?(後編)

前回の記事【歴史トーク】徳川家康はなぜ江戸に入ったか?(前編)

前編では、そもそも徳川家康が入城した時の江戸城は、決してみすぼらしい城だったわけではない可能性があることについてお話しました。

しかし、それだけでは豊臣秀吉が徳川家康に小田原城でなく江戸城に入ることを指示した理由が分かりません。

そこで、後編ではまず当時の政治情勢について述べてみます。

伊達政宗の会津不法占拠問題

小田原合戦の際に、同時並行で問題になっていたことがあります。

それは伊達政宗が豊臣秀吉の惣無事令(戦争禁止令)を無視して、東北で大暴れしていたことです。

しまいには有名な摺上原(すりあげはら)の合戦で、蘆名氏を破って会津(福島県)を占拠。全国でも屈指の領地を持つに至ります。

そこで、小田原城の開城直前(天正18(1590)年7月)に、会津出陣の準備が同時進行で行われます。

その準備とは、近江(滋賀県)から会津までの街道の整備と、各宿泊地に豊臣秀吉の休憩所を設置することでした。

整備された街道はまず東海道(*現在の東海道とはほぼ同じですが、微妙に違ったようです)の近江から江戸までの区間。
また江戸から下野(栃木県)までは2つの路線が整備されます。

鎌倉街道中道(なかつみち)支線(江戸→岩槻→関宿→小山)のルートは、とくに発展したと言われています。

江戸は豊臣秀吉が会津出陣の際に通る予定の、近江(滋賀県)から東海道を通って下野(栃木県)まで向かうルートの一大中継地だったのです。

だから豊臣秀吉は家康に対して、小田原城でなく江戸城に本拠を置くように指示したのでした。

家康はなぜその後も江戸に?

天正19(1591)年1月。

伊達政宗と蒲生氏郷との間で和議が結ばれ、東北は豊臣秀吉のもと平和な時代を迎えます。

その1ヶ月後、東北の押さえとして関東に入っていた徳川家康に再転封の噂が流れます。
結果として、その噂は噂にすぎないものでした。

そこで徳川家康はいよいよ本格的に関東に根付いていくことになります。

ここでポイントなのは、東北に攻め込む必要のない徳川家康には江戸城を本拠地にし続ける必要はないということです。

このタイミングで小田原城に入ることもできたのです。

でも徳川家康はそうしませんでした。

なぜでしょうか?

江戸は水上交通と陸上交通の基点

江戸は、前編でも述べましたが北条氏の頃から次第に発展を遂げ、海上交通が盛んになっていました。

とくに発展していたのが伊勢〜品川のルートです。

江戸に多いものとして「伊勢屋・稲荷に犬の糞」と歌われるように、海上交通を利用して伊勢商人が多数江戸にやってきていました。

また、品川は多摩川を介して中世の武蔵の中心である府中にも便利なまちでした。

そして前に述べたように、秀吉が整備した下野までの陸上ルートは浅草からのスタートとなっていたのです。

海上交通の基点の品川、陸上交通の基点の浅草、その2つのまちに囲まれた場所が江戸城。

だからこそ、家康は江戸にい続けたのです。

では、そんな素晴らしいまちをなぜ北条氏は本拠地にしなかったのでしょうか?

中世の関東は南北で対立

じつは中世を通じて関東は旧利根川(*当時の利根川は江戸のすぐ横に流れていました)をはさんで南北で対立していました。

江戸は非常に便利なまちだったのですが、あまりにも南北の境界線に近く、非常に危険なまちでもあったのです。

そのため古くは源頼朝が鎌倉を、北条氏は小田原を本拠地にしました。

しかし北条氏が、北条氏政の頃に関東地方を統一し南北対立はなくなります。

江戸は平和なまちになっていたのです。

そのタイミングで徳川家康は関東に転封になりました。

なので迷うこと無く、徳川家康は江戸を本拠地にし続けることが出来たのです。 

 

文責:安藤竜(アンドリュー)

主な参考文献

 竹井英文「徳川家康江戸入部の歴史的背景」(『日本史研究』628号、2014年)

岡野友彦『家康はなぜ江戸を選んだか』(教育出版、1999年)

北島正元『江戸幕府の権力構造』(岩波書店、昭和39年)

足利健亮『地図から読む歴史』(講談社学術文庫、2012年)

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