室町時代、古米は新米よりも値段が高かった。なぜ?

歴活代表の安藤竜(アンドリュー)です。
今回の歴史の小ネタは室町時代のお米の値段のお話です。
現在、私たちは古米と新米が両方売っていたらどちらを買いますか?
新米ですよね。
もちろん値段も、古米と新米が両方並んでいたら間違いなく古米の方が安く売っていると思います。
しかし、日本の室町時代は逆で、古米の方が値段が高かったのだそうです。
だいたい古米は同じ量なら新米の1.2〜3倍の値段だったんだとか。
これは非常に不思議な現象です。
室町時代の日本人は古米の方が美味しいと思っていたのでしょうか?
中世史研究者の清水克行さんは、自分自身が自宅で米を研いでいる時、この謎を解明しました。
古米の方が新米よりも値段が高い理由。
それは、
古米の方が新米よりも炊くと量が増えるから!
ということだったのです。
古米は水分が少ないので、新米よりも少しの量でたくさん炊ける。
しかも、その割合がちょうど20パーセント程度。
つまり古米は新米よりも炊くと2割量が増えるので、値段も2割高かったんだそうです。
米の味などいっさい関係なく、とにかく量で値段がきまっていたのが室町時代だったのです。
ちなみに清水克行さんによると、今でもタイやミャンマー、インドなどでは同じように古米の方が値段が高いのだそうです。
日本の中世社会と同じ感覚が、東南アジアの社会ではまだ生きているのです。
参考文献
清水克行『第飢饉、室町社会を襲う!』(吉川弘文館、2008年)