奥出雲「菅谷たたら」から見る!たたら製鉄の世界【後編】

歴活代表の安藤竜(アンドリュー)です。
今回は、たたら製鉄の世界【後編】です。
*前回までの記事はこちら
*もののけ姫のたたら場のモデル!島根県奥出雲、菅谷たたらを行く!その1 なぜたたら場に注目するのか?
*もののけ姫のたたら場のモデル!島根県奥出雲、菅谷たたらを行く!その2 「菅谷たたら」にはどうやって行くの?
*奥出雲「菅谷たたら」から見る!たたら製鉄の世界【前編】
たたら製鉄の流れを再確認
まずは、たたら製鉄の流れを再度確認です。
1、砂鉄を溶かすための薪や炭を生産する森林を管理する
2、砂鉄を採取する
3、たたら炉での精錬作業(今回ここから)
4、大鍛治場でのさらなる精錬
5、半製品の搬送
今回は砂鉄を採取したところからスタート。
採取した砂鉄は高殿(たかどの)と呼ばれる建物の脇に保管しました。
中世まではこのような高殿は作られず、「野だたら」と言って野天で精錬をしました。本来、たたら製鉄を行うたたら師は定住しない集団だったようです。
脇には村下(むらげ)と呼ばれるたたら場の主人だけが通れる近道があります。
3、たたら炉での精錬作業
この炉に、砂鉄と木炭を30分ごとに交互に投入し、砂鉄を溶解させます。
これを 3・4昼夜続けることで砂鉄を精錬するのですが、この期間を「一代(ひとよ)」といったんだそうです。
この間、村下(むらげ)は不眠不休で作業をしたのだとか。
炭を投入したら、ふいごで風を送り温度を高いままに維持します。
「もののけ姫」の時代は踏ふいごでしたが、写真のふいごは水車のふいごです。
竹製の送風管で風を送り込みます。
一代(ひとよ)溶かし続けると、たたら炉を壊して鉄の塊を取り出します。
*鉄の歴史博物館にて
この鉄の塊を真砂(まさ)の場合は「けら」、赤目(あこめ)の場合は「ずく」といいます。
そして、熱々に熱せられた鉄塊を高殿の外にある池に入れて一気に冷却します。
たたら製鉄の歩留まりは約27%。
「けら」の場合は砂鉄が12.8トンだと、木炭が13.5トン必要。
そしてそこから約3.6トンの鉄塊ができるんだそうです。
そもそもこの作業は何のためにやるの?
たたら製鉄の目的は、砂鉄を炭やたたら炉の土と化学反応を起こさせ、金属でない不純物と鉄とを分離させることにあります。
*鉄の歴史博物館にて
このとき発生する不純物を「ノロ」と言います。
「もののけ姫」で美輪明宏さんが声を演じた山犬の「モロ」はここからきているのかな?
4、大鍛治場でのさらなる精錬
この後、大胴場と呼ばれる建物に鉄塊を移動させます。
ここでは巨大な鉄塊を細かい塊にしていきます。
約300貫の分銅を水車の力でロープで引っ張り、鉄塊の上で落下させます。
こうして7〜800貫ある鉄塊を3〜40貫の塊に細かくしていきます。
元小屋では、鉄塊をさらに細かく粉砕していきます。
*鉄の歴史博物館内展示写真
小槌を使って鋼の周辺の粗悪な鋼や「ずく」の部分を落としていきます。
こうして、鉄を品質ごとに約4種類に分別。
極上品は日本刀や現在では精密機械などの材料となり、上は包丁、上の下はナタや鎌にされたのです。
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