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戦国時代のベストセラー『太平記』の内容とは?【書評】神田千里『宣教師と『太平記』』(集英社新書)

『太平記』は戦国時代から江戸時代にかけて、日本人にとっては『平家物語』と並ぶ2大ベストセラーだった!

歴活代表の安藤竜(アンドリュー)です。

今回は戦国時代の宗教史の第一人者である神田千里さんの新刊をご紹介。

集英社新書の『シリーズ<本と日本史>④ 宣教師と『太平記』』です。

戦国のベストセラー『太平記』と『平家物語』

このふたつは戦国時代、歴史書としても娯楽としても広く愛されるものでした。

『平家物語』は物語中の和歌の知識が貴族の間で競争になるほどだったし、太平記についても太平記読みと呼ばれる語り手が多く存在しました。

そのため戦国時代のイエズス会の宣教師たちは、『太平記』を自分たちに都合の良いように改竄しつつ、布教活動に利用するほどでした。

『太平記』の中で描かれる「源平交代史観」は明らかに戦国時代の大名たちの歴史観に影響を与えました。

「源平交代史観」とはなにか?

天皇家による政権が衰退してからは、武士の時代となりました。
平清盛政権から源頼朝の鎌倉幕府に移行し、源氏の将軍の死後は平氏の流れである北条氏が執権となりました。
しかし鎌倉幕府は南北朝の争乱を経て、源氏の足利氏による室町幕府へと変わります。

戦国時代、室町幕府の衰退は平氏による政権交代を人々に想定させることになります。

結果、織田信長は平氏を名乗ったのです。

なぜ太平記は中世人に愛されたのか?

戦国時代は乱世であり、「明君」だろうが「名臣」だろうが呆気なく死は訪れました。

そんな時代の生き方の指標として、太平記は当時の人々に読まれたのです。

太平記の哲学は、

人は無力である。

ということを受け入れることから始まります。

しかし、ならば何もしなくて良いということにはなりません。

世の中の大きな流れに対する個人の無力さを受け入れつつも、だからこそ美しく生き、死してもせめて名を残せるよう心がけることが尊ばれました。

外に向けては儒教道徳がその基準となったし、自分の内面世界においては仏法がその基準となりました。

この太平記の哲学が、中世人の判断基準となったのです。

そして中世人は自らの名を残すために、太平記を読み太平記に描かれる人々の生きざまを語ります。
過去の人々について語り継ぐことによって、自らも未来に語り継がれることを願ったのです。

明日にも命を落とすかもしれない乱世において、せめて自分自身が確かに生きたという証を残したいと願う。

そんな人々によって愛され、語り継がれたのが太平記だったのです。

戦国の裏切り裏切られの世の中で、多くのの人々が生きるために綺麗事を捨て去ったなか、それでも美しく生きたいと願う人々がいた。

そんな人々に愛されたのが太平記だったのです。

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