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ACジャパンの「ライバルは、1964年」というCMへの違和感と江戸時代の「慶安の御触書」

歴活代表の安藤竜(アンドリュー)です。

たまたまテレビを見ていると、ACジャパンのCMが流れていて、それが「ライバルは、1964年」というもの。

なんだこりゃと思っていたらどうも昨年の2016年に、2020年の東京オリンピックに向けてのキャンペーンとして結構な数のCMを流していたらしい。

星野源さんの音楽にあわせて、星野源さんのナレーションが流れます(30秒バージョン)

あのころの日本人に笑顔で負けるな
見る夢の大きさで、人を思いやる気持ちで、心の豊かさで絶対負けるな
ライバルは、1964年

という内容。

見たい方はこちらから

色々検索してみると、どうやら昨年はかなり賛否両論だったらしい。

AC「ライバルは、1964年」CMに賛否両論

私自身は、このまとめ記事の中で紹介されている

団塊や新人類のコンプレックスが200%丸出しの広告で、20代の人間としてはお腹が痛くなるほど笑える。 こんなもののために我々の世代は地獄を味わっているのかと。 悲劇を通り越して喜劇だ。 もう笑うしかない。

この意見にほぼ同調する。

このCMは2020年の東京オリンピックに向けて前向きなことを言おうとしているように見えて、まったく未来を見ていないからだ。

新しい世界を創るのではなく、楽しかった子供の頃に戻りたい!という願望に過ぎないからだ。

大人になってからの方が子供のころよりもっと面白い!

と思っている私にとっては、茶番のようにしか思えない。

そもそも1964年に対して2016年が負けているというのならば、お前らいったい何やってたんだよ。

って話ですよ。

ということで、非常に馬鹿らしいCMだと思うわけですが、じつはこのような昔に戻りたい願望というのは、江戸時代にもありました。

その象徴が「慶安の御触書」というものです。

「慶安の御触書」とは何か。

昔の歴史教科書では割と鉄板の史料で、江戸時代の農民は農作業に励む心得から衣類や食事に至るまで細かい指示や規制を受けたことを教えるのに使われたものです。

以前、歴活で話したことがありますが、意外と知らない人が多くてびっくりでしたね。

昔の教科書にはあれほど出てきたはずなのに・・・

まあ、それは置いておいて、この「慶安の御触書」ですが、じつは慶安(1648〜1652年)の頃に出された幕府の法令ではないことが最近分かっています。

じつは甲斐(山梨)から信濃(長野県)にかけて、寛文5(1665)年頃に、大規模農業経営者に向けて書かれた使用人への教諭書「百姓身持之事」という書物がルーツだったのです。

店長がお店の従業員に向けて作った店舗ルールのようなものですね。

笑顔で接客しましょう!みたいな。

これを165年後の文政13(1830)年、ちょうど藩政改革の最中だった美濃(岐阜県)の岩村藩が見つけたのです。

これいいじゃないか!

と。

そして、一般の農民用に一部修正して「慶安の御触書」として印刷して配ったのが最初で、江戸時代後半の寛政改革や天保改革など農村の復興がテーマだった時期に全国に広まったんだそうです。

元々は「百姓身持之事」という題名だった本を「慶安の御触書」としたのはなぜ?

ではなぜ、「百姓身持之事」という題名だった本をわざわざ「慶安の御触書」としたのでしょうか?

まさにACジャパンの「ライバルは、1964年」CMと同じ発想だったのです。

「慶安」というのは、将軍でいうと徳川家光の末期と家綱の初期。

まさに戦乱の時代が終わり、参勤交代や鎖国(最近は海禁ということが多い)などの江戸幕府の体制が整った時期にあたります。

*この頃の時代背景については下記の記事も参考にしてください。
【歴史トーク】4代将軍徳川家綱に学ぶ!家業から企業へ経営戦略】

江戸時代の後半、貧富の格差が拡大した上に飢饉が多く発生し、幕府も大名も財政赤字が止まらないという時代。

「慶安」という響きは江戸時代後半を生きる人たちにとって、古き良き時代をイメージさせるキーワードでした。

助け合いの心で負けるな!親孝行で負けるな!

仕事への取り組み方で負けるな!

ライバルは慶安

ということだったのです。

しかし結局、寛政改革も天保改革も、明治時代に向けた新しい社会を創ろうとしたものではなく、あくまでも現状の社会には合わなくなってきている江戸幕府の体制を維持したいという発想で行われたものでしたから、うまくはいきませんでした。

失敗の一番の原因は、武士たちは変わることなく農民だけ変わることを強制したからです。

ACのCMにも私たちは同じことを感じます。

年寄りは変わることなく若者だけ変わることを強制しているのではないかと。

俺たちの若い頃はこんなだったのに、お前らがこんなだから今の世の中だめになったんだ。

俺たちは変わる必要はない、若者だけが俺たちに都合良いように変わりなさい。

そういうことでしょ。

私たちはこういう発想は失敗するという過去の歴史を知っています。

ライバルは、1964年

こんな後ろ向きな事は言わず、もっと新しい未来をともに創っていこうではありませんか。

お年寄りのみなさんも。ね。

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