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映画「ファウンダー」のネタバレ感想と中世の仏教との共通点

ファウンダー〜ハンバーガー帝国のヒミツ〜

という映画を見てきた。

元、ハンバーガーショップの店長をしていたこともある私としては、非常に興味深いものだった。

今回はこの映画の感想と中世の仏教の歴史の絡みについて語ってみたい。

ネタバレを含むので、注意して読んでいただきたい。

マクドナルド創業時の物語

この映画はハンバーガー帝国のヒミツという副題がついているように、マクドナルドの創業時の物語だ。

マクドナルドは元々、その名の通りマクドナルド兄弟によって創業されたハンバーガーレストラン。

当時のアメリカではドライブインの質が低く、頼んだ食べ物がいつまでたっても出てこない、注文を平気で間違える。そしてまずい。
さらに、店にたむろするヤンキーどもがうざいし、ジュークボックスの音楽がうるさい。
そしてヤンキーたちがゴミを撒き散らして汚い。

そんなひどい有様であって、ドライブインというのは普通のファミリーが子供を連れて行けるようなところではなかった。

そんな状況を劇的に改善したのがマクドナルド兄弟だ。

今では当たり前の清潔なオープンキッチン、システマティックな従業員の動き、注文と同時に商品が揃うスピード、美味しく焼けたハンバーグ、常に一定の味を保つシステム、紙に包まれて皿を洗う必要もない画期性。

これら一連の革命的なシステムによって、マクドナルド兄弟はファミリー層の絶大な評価を勝ち取り大成功を収めていた。

しかし、それはあくまでも自分自身のお店でのみのことだった。

フランチャイズは常に失敗し続けていた。

そこに現れたのが、レイ・クロックだ。

売れないミキサーの営業マンだった彼は、マクドナルド兄弟の店が8つもミキサーを注文したのに驚き、マクドナルド兄弟の店を見に行く。
そしてその画期性に感激し、フランチャイズ契約を結ぶことになる。

しかし、その後は戦いの日々だった。

マクドナルド兄弟はとにかく質の高いものを提供するという自分たちのやり方を常にレイ・クロックに要求する。

しかし、レイ・クロックは苦しい現実にぶち当たるたびに、マクドナルド兄弟と衝突するのだ。

ウォークイン冷凍庫の電気代に苦しむ加盟店のために(映画では好きな女性のためだったが)、あえて質を落としたインスタントのシェークを導入したり、ハンバーガーを売るのではなく店舗とその土地という不動産で利益を得る仕組みを作り上げる。

そうして現在に至る超巨大帝国をつくるわけだが、その都度マクドナルド兄弟と対立するのだ。

そして最終的にはマクドナルド兄弟から完全に権利を買い取って、自分自身が映画の表題どおりファウンダー(創業者)と名乗ることになる。

王道と覇道の戦い

マクドナルド兄弟とレイ・クロックの対立は、ビジネスの考え方の根本的な違いが原因にある。

いわゆる王道と覇道だ。

マクドナルド兄弟は王道。
レイ・クロックは覇道だ。

映画では覇道の考え方はどちらかというと批判気味に描かれているように思う。

とくにシェークのくだりは、最後にわざわざ「シェークは結局元のミルクシェークに戻る」と記される。
質の高さを常に追求するマクドナルド兄弟に対して、レイ・クロックは店を増やしたいがあまり質を落としたひどいやつという感じだ。

でもよく見て欲しい。

レイ・クロック、実はめちゃくちゃマクドナルド兄弟のやり方に心酔しているのだ。

マクドナルド兄弟のやり方を守らない投資家の友人に対しては、激怒して友達の縁を切ってしまうくらい。

本気でマクドナルド兄弟のやり方を追求しようとした上での妥協なんだという点は見ておかなくてはならないと思う。

レイ・クロックと蓮如は似ている?

この映画を見て、真っ先に思ったのは実は日本の鎌倉新仏教だ。

浄土宗や浄土真宗、日蓮宗や曹洞宗などを鎌倉新仏教というのだけれど、じつは最近の研究では鎌倉時代にはあまり普及しなかったという。

念仏や座禅、法華経だけを信じろ。それ以外は絶対にいらない。

というあまりにもエッジの効いた革命的な思想にシビれた人もたくさんいたのだけど、あまりにも革新的だったために、あくまでも宗祖の周辺までしか広がらなかったのだ。

結果、鎌倉時代は平安時代以来の顕密仏教と呼ばれる仏教がじつはメインストリームだった。

しかし、宗祖が亡くなり次の世代に変わると流れが変わっていく。

気候変動による飢饉などの背景もあって、宗祖の考え方にこだわっていると目の前の人たちを救えないという状況が発生したのだ。

そして、いわゆる宗祖原理主義ともいえる派閥と現実派とでもいうべき改革派の派閥の2つに各宗派は真っ二つに別れ、浄土真宗は蓮如、曹洞宗は加賀大乗寺の創建者である徹通義介が現れるなど後者の改革派が主導権を握り、それぞれの宗派を巨大な教団へと組織していくのである。

まさにレイ・クロックのやったことは蓮如や徹通義介のやったことに通じると思うのだ。

彼らは確かにマクドナルド兄弟、親鸞、道元の革命的なやり方を、まるでカルピスの原液を薄めるように広めていった。

そして間違いなく、オリジナルのやり方からは少し遠のいた。

しかしだからこそ、今現在これだけ名を知られた存在となっているのである。

そこは評価すべきなんだろうな、そう思うのだ。

しかし、それゆえにマクドナルドは今現在、まるで元々のいけてないドライブインのようになっているし、浄土真宗も曹洞宗も江戸時代は幕府の出先機関のようになってしまった。

王道と覇道のバランス。

言うは易いが、行うは本当に難しい。

文責:安藤竜(アンドリュー)

*なお念のため申し添えておきます。
 レイ・クロックと蓮如、徹通義介が似ているというのは、あくまでもオリジナルにこだわりすぎず普及のスピードの方を重視したという一点のみです。
 人間性などについては、一切似ていないと断言しておきます。


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