現代と戦国時代では県民性は異なるのか?〜石川県の場合〜

県民性。
なんかありますよね。やっぱり。
私は兵庫県から石川県に移住したわけですが、結構人の考え方みたいなものが違うなあとやっぱり思うのです。
石川県民は保守的だけど、新しいもの好きで、しかもすぐ飽きる。
とか、
内輪で固まって、外部の人間を寄せ付けない。
とか、言われたりもするけれど、
優しくて穏やかな方が多いし、真面目で正直な方が多い気がします。
そんなところは好きだなあといつも思うのです。
では、こんな県民性はいったいいつ頃から育まれたのでしょうか?
果たして。今と昔では県民性は同じなのか?
これが今回のテーマです。
まずは現在の石川県の県民性をおさらい
さきほどは私の思う石川県の県民性を語りましたが、一般的にはどう言われているのでしょうか?
県民性.comというホームページがあったので、そこから引用してみようと思います。
石川県の県民性から見て、
全体的におっとりとした方が多く見受けられます。
控え目である、強い主張をする人などが少ない、
トラブル時の対処スキルを持ち合わせていないなどと言われることもあります。
ただし、プライドが高く、家柄や習わしを重んじる傾向にあります。
そのため家族の考えを優先させてしまうなど、
慎重にならざるを得ないという一面もあるようです。
包容力がある男性が多く、女性は几帳面で一途な面があります。
おっとりしていて控えめだけど、プライドが高くてちょっと面倒。
昔ながらの慣習とかが結構残っているので、新しいことにチャレンジしにくい。
こんな感じでしょうか。
なんとなく納得という感じの文章ですが、ではつぎに戦国時代の石川県民はどうだったのかを見ていこうと思います。
参考にする文献について
参考にする文献はこちら、
『人国記』『新人国記』です。
国立国会図書館デジタルコレクションからも読むことができます。
この『人国記』、作者や書かれた年代は不明ですが、戦国時代に書かれ、武田信玄が愛読していたとも言われます。
これをふまえて江戸時代に関祖衡という人が地図を入れ考察を加えたのが『新人国記』です。
今回は『人国記』に書かれている内容を見ていきます。
戦国時代の石川県の県民性〜加賀国編〜
石川県は加賀国と能登国の2つの国に分かれます。
現在も金沢と能登では、かなり言葉も人の性質も異なります。
まずは金沢のある加賀国の記載から見ていきましょう。
*本来の文章から安藤竜(アンドリュー)が現代語訳しています。
加賀の国の風俗は、身分の上下ともに才能を隠してあまり目立たないようにしている。
中でも江沼郡・能美郡(加賀市や小松市など南加賀エリア)はとくにである。
石川・川北(かほく)郡は少し違って、気安いかんじである。
武士の風俗は、おとなしくて尖ったところがなく温和であるが、武芸で出世したがらない。
ただ、畳の上での才能で出世しようとする気質が多い。100人中50人はそうである。
他国で合戦や境界争いがあっても、自分の領地を守ることを優先して外に出ない。
攻めてくるものがあれば、しかたなく戦う。
戦国の時代でも人の領地を理由もなく奪うのは盗賊のやることだとみんな考えていて、賢人のような振る舞いである。
またすべてにおいて、自国より外に優れたものがあるとは思わず、他を求める気がない。
すべてにおいて執着がなく、どんな道でも学ぶ途中で退屈して、中途半端でやめてしまうことが多い。
その気分を周囲に広げ、怠惰な心に打ち勝つ工夫をせず、怠惰な気分に慣れ親しんでいる。
すべてこの国のやり方がベストであると思う考えがなければ、深く学ぶ志は強いので天下の模範になるべき国風なのに、こんな気質なのは残念である。
前半は金沢・南加賀の穏やかなところや正直なとことがよく表現されています。
後半は新し物好きの飽き性という部分がもろに描かれていますね。
戦国時代から、どうやら金沢・南加賀の人たちの特徴はあまり変わらないようです。
戦国時代の石川県の県民性〜能登国編〜
では、つぎに能登の人たちについて見てみましょう。
能登の国の風俗としては、視野が狭く一歩外へ出たらすぐに命を失うと思っているようだ。
そのため、主人がまともな待遇で雇用しなくても、みな生きながらえるためにまじめに働く気風がある。
そんな主人から離れる意気地がない。
とはいっても、武士の覚悟としては素晴らしいものがある。
なので、この国から外へ出ようなんていう素晴らしい人材が外に出れば、必ず優秀な成果を出す。
外に出ないときは国の棟梁となるべき人となる。
ただ、もし他国へ出ず、棟梁にもならず、不遇の生活をしていたならば、自然と悪事を企むところがある。
辺鄙な国なので、世間を知らず、プライドが高いところがある。
能登の人についての記載は正直あまりピンとはきませんが、以前まあまあブラックな状態になってしまっている企業様の業務改善コンサルティングにお伺いした際、現場の方たちがあまりにも献身的なので上層部がつい甘えてしまっているという状況は目にしたことがあります。
能登出身の人はこれを読んでどう思われるんでしょうね。
聞いてみたいところです。
文責:安藤竜(アンドリュー)
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