金沢の正月菓子「辻占」4選と「辻占」とは何か

石川県には辻占という西洋のフォーチュンクッキーにあたる正月菓子があります。
形は大きく2種類。
最中の種を福寿草の花の形に似せた種物タイプものか、寒梅粉・餅粉を使った柔らかい皮を羽根型にした米粉タイプのどちらかで、その中にちょっとした気がかりや恋の行く末を占う言葉が入っています。
「おみくじ」が入っているという解説もよく目にしますが、本来の辻占は縁起の良い言葉や恋の成就にちなんだ言葉を引いて楽しむといったもので、「おみくじ」とはまたちょっと違った粋な楽しみ方をするものです。
中町泰子さんによると、新潟三条市や富山の南砺市、京都伏見、兵庫県宝塚市清荒神、長崎佐世保市などでも作っているようですが、2010年の調査によると石川県では13軒の製造元があり、この多さは全国でも珍しいようです。
基本的に辻占はAKBの「恋するフォーチュンクッキー」という歌もあるように、恋がテーマのお菓子です。
なので、ひがし・にし・主計町と3つの茶屋街を擁する金沢が最も製造元が多いというのは納得ともいえますね。
辻占は江戸時代に作られ始めたと思われますが詳細は不明です。
少なくとも明治時代には金沢ですでに作られていたことがわかっており、正月の縁起菓子としてだけでなく、夜の茶屋街では年中辻占売りが辻占菓子を販売していたことがわかっています。
そのうちの一人である今越清三朗氏は乃木将軍に出会い思いがけず大金を受け取ったことから、のちに金箔業で大成したという美談になっており、乃木坂の乃木神社には銅像が残っているくらいなのです。
*今越清三朗氏についてはこちらの記事もどうぞ
金沢主計町茶屋街と乃木大将がまさかの縁〜乃木大将と辻占売りの少年
では、そんな石川県の正月を彩る辻占菓子をまずは4つご紹介!
落雁諸江屋 種物タイプ
諸江屋さんは明治時代の辻占の版木が今も残っているらしく、辻占菓子自体も明治時代から製作しているそう。
最中の種を使った種物タイプで福寿草を模した辻占菓子です。
辻占にイラストがついているのも特徴で、言葉も明治時代からの伝統的なものが入っています。
昔ながらの伝統的な辻占を楽しみたい方は諸江屋さんをどうぞ!
購入場所
落雁諸江屋 金沢駅改札裏手金沢百番街あんと店
*諸江屋ホームページ
森八 種物タイプ
続きましてこちらも老舗の和菓子店森八さん。
諸江屋さんと同じ最中の皮の種物タイプですが、ちょっとシュッとしていますね。
中身は縁起物というよりは格言タイプですかね。ことわざが入ってます。
正月に今年のことわざを選んでみたい!そんな方にオススメです。
購入場所
森八 金沢駅店
*森八ホームページ
兼六園本舗高砂屋 米粉タイプ
高砂屋さんは米粉タイプ。三色のカラーが可愛い♫
中身はシンプルな縁起の良い言葉が入ってます。
新年はやっぱりシンプルに励ましてほしい!
そんな人にオススメです。
購入場所
高砂屋 金沢駅金沢百番街あんと店
浜原製菓 米粉タイプ
こちらは石川県小松市のスーパーで購入した辻占です。
こちらも米粉タイプ。金沢より西の地域だと基本的に米粉タイプになるようです。
高砂屋さんよりも形がシャープですね。
中身は高砂屋さんと同タイプ。ちょっとした縁起の良い言葉が入っています。
購入場所
犬丸屋 本店
小松市土居原町753
製造元情報
浜原製菓
小松市須天町1−61
いかがだったでしょうか?
ぜひみなさんも、お正月に辻占を食べて楽しんでみてくださいね。
文責:安藤竜(アンドリュー)
参考文献
中町泰子『辻占の文化史』(ミネルヴァ書房、2015年)
『今越清三朗翁伝』(中央乃木会叢書(2)昭和53年)
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