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【書評】福田千鶴『城割の作法〜一国一城への道程〜』

本書は、城割という城を破壊する行為に着目して、戦国時代から江戸時代初期の時代を描いたものです。
この内容について、理解不足な部分はあるかと思いますが、私なりの理解をまとめてみました。

城割とは何か?

城割というのは、戦国時代に城の一部を破壊することで「降参」の意思表示とした行為なんだそうです。色々と段階があって、早めの降参であれば城の一部の象徴的な部分を壊すだけで良い。しかし徹底抗戦した上での降参の場合は、徹底的に破壊することになり、これは城を割るのではなくたたむと呼びました。現在の「店をたたむ」という言葉と雰囲気はほぼ同じです。
自分で城を割る場合もあれば、相手に割られる場合もあり、これはケースバイケースということになります。これをすることで、城主は敗北後もその城に居続けることができたのです。

降参したくない時はどうしたか?

しかし、降参したくない時もあります。
その場合、どうしたのか。その場合は自分の城を燃やし城を出ました。
この場合、戦いには負けても降参はしていないという位置付けになったのです。そして脱出する場合もあれば、城内で自害することもありましたが、自害の場合は天守で自害するというのが作法となっていきました。天守のないもっと古いスタイルの城であれば、もちろんそんなことはありません。

秀吉の城割

豊臣秀吉は天下をとると、平和を実現すべく山城停止令を出しました。
その結果、安土桃山時代の城は元々経済的な理由から、山城から平城化していましたが、それがさらに進展していくことになります。
そして、小田原城に代表されるように、総構えと呼ばれる堀と城壁によって武士だけでなく町人の居住地も守られた城が全国に増加していくことになります。
これは、大名間の戦いが武士だけではなく、町人たちも巻き込んだ総力戦と進化していく可能性を秘めていました。
山城がダメなら平城を作ればいいじゃない。しかもそっちの方が強いし。みたいなことになっていったのです。

関ヶ原の戦いと築城ラッシュ

関ヶ原の戦いに勝利した家康は、秀吉の山城停止令を継続していました。
しかし関ヶ原の戦いの後、みたくもない現実を突きつけられます。
慶長の築城ラッシュです。戦争を終わらせるために山城停止令を継続していたのに、西国大名たちはバンバン山城より強力な城を作り出しました。
大名たちは関ヶ原の戦いで乱世が終わるなんて微塵も思っていなかったのです。

大坂の陣と諸国城割令

大阪の陣の際、家康は豊臣方を騙すような形で、無理やり大坂城の堀を全て埋めてしまいました。
これはなぜか?
家康は旧来の古い山城用の城割から、近代的な織豊系城郭用の新しい城割ルールを作ろうとしたのです。中世の城割から近世の城割へのアップデートです。それが、総構えを全て埋めることで総力戦ができない体制にするという新城割ルールでした。
その後、武家諸法度で勝手に城の普請ができないようにし、西国を中心に大名ごとに個別に居城以外の城を破却する城割令を出しました。これがのちに一国一城令と呼ばれるようになります。
全国一律に出された法令と思われていましたが、実はそのようなことはなく、一国一城令という名前でもありませんでした。のちに、中世に領域内の支城が全て落城して本城しか残っていない状況を指す用語として使われていた「一国一城」という言葉が、この法令の意味と似てるよねということで総称されるようになったのだということです。

福島正則の改易の真相

福島正則は西国大名の統制のために、武家諸法度の法令違反ということで改易となりました。しかし秀忠は当初、改易までは考えていなかったといいます。
では、なぜ改易になってしまったのか?
それは上記の城割のアップデートが問題でした。
正則は法令違反のお詫びとして城割を申し出ます。しかし実際に行ったのは中世の城割でした。秀忠が求めていたのはもちろん近世の城割。近世の城割ルールが徹底されないことに憤った秀忠は、半ば見せしめとして正則を改易にしたのです。世の中のルールがアップデートされたことに気づけなかったが故の悲劇でした。
のち、正則は家臣たちに世の中の変化についていけていなかったばっかりに改易となってしまったことを詫び、黒田長政はこれを知ってすぐ息子に時代の変化を伝えました。

戦国は完全に終わりを告げ、新しい社会が生まれていました。

感想

城を壊すというテーマから、中世から近世への時代の変化を読み解くという、とても刺激的な一冊でした。
単純に城マニアとして楽しむのでなく、歴史を学ぶことの醍醐味が詰まっている本だと思います。
ぜひ読んでみてくださいませ。

文責:安藤竜(アンドリュー)
   記:2020年1月21日

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