テレビ評論「NHKスペシャル 司馬遼太郎思索紀行 この国のかたち」

日本人は常に緊張している。
それは公の意識を持っているからだ。
日本人の公の意識のルーツは鎌倉時代の坂東武士にあった。
日本人にとってのヒーローは武士である。
彼らはとても高い倫理観を持っていた。
彼らは恥ずかしいことをしない。
「名こそ惜しけれ」
という倫理観を強く意識していた。
その例としてあげられていたのが、能の演目「鉢木」
ある貧乏な武士の家に旅人がやってきたとき、暖をとらせる薪がなかった。
そのため、大切にしていた盆栽を切って暖をとらせたのだ。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/鉢木
このような「名こそ惜しけれ」の倫理観は、坂東武士の開拓農民としての性格から生まれた。
西洋のキリスト教的倫理観に対抗するものとして、司馬遼太郎さんは「名こそ惜しけれ」の精神をあげた。
この「名こそ惜しけれ」の精神は、その後戦国時代に入ると後北条氏の家訓に現れる。
早起きをする。
嘘は言わない。
ここからは、恩義がある人のために!という意識から領国のために!という公の意識への転換があったという。
この領国のために!という公の意識は江戸時代に入ると秋田藩士栗田定之丞に見られる。
彼はたった1人で飛び砂の被害を防ぐ防風林を作った。
思ったこと
日本とアメリカではヒーローの職業が違うということがよく言われる。
アメリカではスーパーマンもスパイダーマンもみんな民間人だ。
でも日本人のヒーローはみんな公務員。
あぶない刑事も相棒も踊る大捜査線も新宿鮫もみんな警察官だし、ウルトラマンのウルトラ警備隊もローマ法王に米を食べさせた男も公務員だ。
本来、開拓農民としての坂東武士は民間人だった。
しかしいつしか、武士は民間人から公務員となった。
そして公の意識を持つようになった。
そして、その意識は民間人も引き続きもっているのだ。
それはとても素晴らしいことだけど、それが幸せかと言われるとなかなか難しい。
いつも緊張して生きているからだ。
私たちはこの日本人らしさをそのまま良しとするのか、それともそこから何か新しいものを上乗せすることができるのか。
考えて行きたいテーマのひとつだ。
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