奥出雲「菅谷たたら」から見る!たたら製鉄の世界【前編】

歴活代表の安藤竜(アンドリュー)です。
今回も奥出雲のたたら製鉄についてがテーマです。
前回までの記事はこちら
*もののけ姫のたたら場のモデル!島根県奥出雲、菅谷たたらを行く!その1 なぜたたら場に注目するのか?
*もののけ姫のたたら場のモデル!島根県奥出雲、菅谷たたらを行く!その2 「菅谷たたら」にはどうやって行くの?
今回は、実際のたたら場をご紹介していきます。
*菅谷たたら山内案内板より
左下の菅谷高殿が「たたら場」です。
*撮影スポットから見た菅谷たたら。
高殿の横の桂の木は鉄の神である金屋子神が降臨されたというゆかりの木で、季節により4色に輝くのだそう。
まずはこちらの村下(むらげ)屋敷跡にある受付からスタート。
受付が終わったら、つぎは「たたら製鉄」の流れを解説していきましょう。
奥出雲「菅谷たたら」のたたら製鉄の流れ
もののけ姫では「たたら場」は鉄砲鍛治まで抱え込む巨大な工場となっていましたが、実際の出雲のたたら場は鉄の加工まではしなかったようです。
実際の流れはこんな感じです。
1、砂鉄を溶かすための薪や炭を生産する森林を管理する
2、砂鉄を採取する(今回ここまで)
3、たたら炉での精錬作業
4、大鍛治場でのさらなる精錬
5、半製品の搬送
ここまでを鉄山師と呼ばれる人が一貫して管理する経営でした。
では、それぞれについて見てみましょう
1、薪や炭の確保
鉄を作る「たたら炉」の土台は湿気を極端に嫌います。
そこでまずこの土台の上で薪を燃やして土台から乾燥させます。
*山内生活伝承館内の展示写真より
このように薪を大量に敷き詰めて燃やしていきます。
あまりにも大量に炭がいるので、
「砂鉄(こがね)七里に木炭(すみ)三里」
と言って、半径12km以内に木炭が獲れるところでないと、たたら場は作れませんでした。
「もののけ姫」で、たたら場の人々が山の木を大量に必要としたのは、こういうことだったのです。
2、砂鉄を採取する
砂鉄を採る場所を鉄穴場(かんなば)と呼びます。
写真のように川から採る場合は川砂鉄と言って、山砂鉄・海砂鉄もありました。
砂鉄は鉄穴流し(かんなながし)と言って、砂鉄を含む土砂を傾斜にした溝にそって水で流し、重い砂鉄を沈殿させて集めました。
この作業は 約3日かかったそうです。
また、砂鉄には大きく真砂(まさ)と赤目(あこめ)の2種類がありました。
*左上が玉鋼、右上が真砂(まさ)砂鉄
真砂(まさ)は主に山陰地方で採れ、色は黒色。
こちらは鋼(はがね)の原料となります。
赤目(あこめ)は山陽地方で採れ、名前の通り赤色で、鍋や釜など通常の鋳物に使われる原料となりました。
ここ菅谷たたらでは、主に真砂(まさ)を使って鋼(はがね)を作っていました。
鋼(はがね)の中でも特に高級なのが写真の玉鋼で、こちらが刀剣の原料となったのです。
次回は、この砂鉄を実際にどうしていたのか紹介していきます。
つづく・・・
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