連歌巻こうぜ!気楽に連歌入門 その二 連歌のルール(式目)編

連歌入門。第二回は連歌のルール(式目)編です。
第一回 連歌用語編〜用語を知って連歌師になりきろう
第二回 連歌式目編〜連歌のルールを知ろう
第三回 連歌準備編〜準備をしたら楽しいもの
第四回 連歌実践編〜カラオケのように連歌を巻こう
前回は連歌用語をマスターしました。
つぎは連歌のルール(式目)をマスターしましょう。
目次
連歌のルール(式目)について語る前に
今から連歌のルールについて語りたいと思いますが、実際に連歌をやってみて私が一番感じたことは、
ルールも大事だけど、連歌を楽しむことがもっと大事!
ということ。
連歌を自分でやってみて分かったのです。
連歌のルールというのは、連歌を楽しむために設定されているものが多いということに。
ですので、ルールのせいで楽しめないなら本末転倒です。
ぜひルールと上手く付き合いながら連歌を楽しんで欲しいなあと思います。
連歌のルール(式目)いろいろ 発句
まずは最初に詠む句の発句について。
基本的に発句は主客が詠みます。
カラオケと同じです。その場で一番偉い人が最初に歌うのです。
でも、カラオケと同じで最初に歌うのが苦手な方もいらっしゃいますよね。そんな場合や趣向があるときは事前に発句を用意したり、古典の和歌から選ぶこともあります。
発句は基本的に当季の語を読み込みます。もっと厳密に時節や月日までこだわる場合もあります。
忘年会の二次会のカラオケの1曲目に、TUBEの「あー夏休み」やケツメイシの「夏の思い出」なんか入れる奴はいないのと同じです。
冬の1曲目ならやっぱりGLAYの「Winter again」とかだよね!
そういうことです。
あと、発句のラストは言い切る!これが大事です。
「かな」とか「けり」とかで終わります。
カラオケの1曲目で誰も知らないバラードを歌うのでなく、誰でも知ってる盛り上がる曲を入れることは多くないですか?
言い切ることで勢いをつけてつぎの脇句につなげていきます。
連歌のルール(式目)いろいろ 脇句
続いて二句目の脇句について。
脇句はその会の亭主(主催者)が詠みます。
ようはお客を接待する人です。
となれば、詠み方はわかりますよね。
とにかく発句に寄り添うような歌を詠むことです。そして季節はもちろん同じです。
接待カラオケなら、社長が歌った1曲目が冬のノリの良い歌だったなら、2曲目も冬のノリの良い曲で続けようかな。そんなニュアンスです。
2曲目で突然方向性を変えてはいけません。社長の歌に続きましたよ!そんなニュアンスを伝えることが大事です。
もちろん友達同士のカラオケでも2曲目は1曲目の雰囲気にあわせることは多いと思います。そこはまったく同じです。
あと、なぜかよくわかりませんが名詞で終わる「体言止め」で終わることがルールです。
「青春アミーゴ」などを作った作詞家のzoppさんによると、体言止めを使うと、その名詞がイメージに残りやすいという効果があるのだそうで、その季節をイメージさせる名詞で終わることで、季節感を強調したいということなのかもしれません。
*2017年7月2日放送「関ジャム 完全燃SHOW【夏シーズン目前!”夏うた”徹底解剖!】でのケツメイシ「夏の思い出」の分析より
連歌のルール(式目)いろいろ 第三句
第三句は非常に大事です。
この三句目で何が詠まれるかで、その日の連歌会の流れ=行様が決まってきます。
カラオケでも同じではないでしょうか。3曲目でバラードなのか、アニソンなのか、コミックソングなのか、ノリノリのままなのかでなんとなく、その後のカラオケの流れは決まってこないでしょうか。
そんな方向性を決める句が三句です。
そして第三句はなぜか「て」で終わるのがルールです。
「て留め」と言います。「けふこえて」「会いに来て」とかですね。
テンポが良くなるということなんでしょうかね。ちょっと理由はまだ良くわかりません。
連歌のルール(式目)いろいろ 季節の流れ
さて、連歌は最初、その時期の季節で詠まれます。
その後に季節の流れを表現してくことになります。
その際、意識して欲しいものに句数(くかず)というのがあります。
これは春とか秋とか恋とか、和歌的にいい感じのテーマのときはそれを続けましょうよ!
ということです。
連歌は基本的に変化することを良しとします。
なんせ長いと百句も詠まなきゃいけないので、同じ感じのが続くとゲンナリしてしまうのです。
とはいえ、ノリノリの曲が入ったと思ったら、つぎはバラード、つぎはアニソン、つぎは演歌なんてバラバラ過ぎるのもつまらんですよね。
失恋ソングが入ったら、もう1曲くらい失恋の曲入れようかなとか、ノリノリの夏歌が入ったら2・3曲続けてみようとか、そういうその場の空気感のようなものが句数です。
連歌では、春・秋・恋はだいたい3句から5句まで続けるというのが良いとされます。春は桜、秋は紅葉、そして恋。
こんな素敵なテーマがでてるのに、
1句で終わってしまって、さあつぎ!
っていうのはちょっとさびしいね。
でも、いつまでも夏歌しばりってのも・・・
ということですね。
そして夏・冬・旅行・山・水辺などは3句まで。平句では1句で捨ててよい。とされます。
突然洋楽とか入ったら、無理に洋楽で続けなくても良いよ。ということです。
あと、季節を変える際には必ずなんの季節でもない雑(ぞう)の句を間に挟まないといけないというルールがあります。
これはやってみたらわかりますが、そうしないと五七五の前句が夏だったとして、その付句の七七が秋だったら、一首に二つの季節が入ってしまっておかしくなります。
なので、自然と雑を入れることになります。
連歌のルール(式目)いろいろ 一座何句物・去嫌い・賦物
一座何句物(いちざなんくもの)というルールがあります。
一回の連歌で同じ言葉を何回使って良いかのルールです。
基本的には雪、月、花などの主要なもの以外はほぼ一回です。
カラオケで参加者誰もが知らないアーティストの曲をひたすら入れ続けられてもつらくないでしょうか?
B’zやミスチルなら何曲入ってもいいけどスガシカオばっかりそんないれんなよ!いい曲だけれども!
みたいなことですね。
また去嫌い(さりきらい)というルールは、似た言葉は離すというもの。舟が出てきたらつぎに舟について詠むのは5句は離すというものなら、「五句嫌い」とか「五句去り」といいます。
ほかマニアックルールに賦物(ふしもの)というのがあります。
例としては「賦何船連歌(ふすなにふなのれんが)」という場合、「何」のところに当てはめて「船」と接続する熟語を必ずよみこむのです。
「客船」「渡船」とかの熟語だと、必ず句に「客」や「渡」の文字を入れ込むのです。
なかなか難易度の高いルールなので、かなり連歌の歴史の初期に廃れたようです。
連歌のルール(式目)いろいろ 月花の定座・挙句
月と花。
この言葉は特別です。とくに花は最も特別な言葉なので、詠む場所が指定されます。
連歌は懐紙の裏表に記録されますが、半歌仙(18句)だと表に6句、裏に12句記録します。
月は表と裏の2回まで、花は裏表全体で1回だけ指定されます。
月と花はカラオケで言うところの十八番の曲です。
私のサラリーマン時代の上司の例で言うと、ブルーハーツの「人にやさしく」がそれでした。
必ず最後の方で勝手に入れておいて、歌っていただくのです。
そうすることでカラオケも盛り上がり、上司にも楽しんでもらえるのです。
同様に連歌でも順番を無視して「花」は主客に詠んでもらうことがありました。これをまさに「花をもたせる」と言います。
そしてやっぱり花は最後の挙句のひとつ前に設定されることが多かったようです。
さて最後の挙句です。
挙句はあっさりよむか祝言の気持ちをこめてよみます。
静かにすっと終わるカラオケも良いですし、最後に楽しく盛り上がる歌を入れてみんなで合唱するもよし。
とにかくやって欲しくないのは、マニアックな曲で終わって不完全燃焼!という状況だと思います。
とにかく楽しく終わることを意識して詠むことが大事なのです。
いかがだったでしょうか?
次回は実際にどう連歌を詠んでいくのか、解説してみようと思います。
お楽しみに!
実際に連歌を詠んだ様子はこちら
*望月連歌之会を開催しました
文責:安藤竜(アンドリュー)
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