金沢城二の丸御殿。タンスより出でし少女の怪(金沢の怪異・怪談シリーズvol.6)

時は4代前田光高の時。寛永の末か正保の初めの頃であった。
金沢城二の丸御殿で、藩主光高の寝巻が必要になった。
こんなときは御納戸奉行が対応するのだが、不在だったので宿直のリーダー脇田九兵衛が横目の千秋太郎左衛門と一緒に衣装箪笥の引き出しを開けたところ、なんと11・2歳の少女が飛びでてきた。
そのまま太郎左衛門に抱きつき、そのあたりにいたものは皆大騒ぎだった。
しかし太郎左衛門は少しも動じず、少女を抱きかかえたまま、ご用の寝巻は他の人に取り出させ、少女を抱き抱えたまま上司にも報告して、
「おまえはどこの者だ」
と訪ねた。
越中国高岡の小馬出しに住む紺屋の娘だという。
今日の昼に誰とも知らず連れてこられたとのこと。
よって、飛脚で高岡まで訪ねてもらったところ、紺屋でも金沢へ娘を探しに来ており、途中で行き違ったようだ。
少女が失踪したのはその日の昼頃のことで、間違いないとのことで少女は紺屋に引き渡された。
太郎左衛門は事件が落ち着いたとき、
「未熟なものであれば慌てふためいて少女を逃がしてしまっただろう。よくやった。」
とお褒めに預かり、藩主光高より衣類を拝領されたとか。
<参考文献>
文責:安藤竜(アンドリュー)
ご案内
金沢の地元情報の記事作成、歴史にまつわる文章や講演のご依頼はこちらから
イベントは金沢歴活のフェイスブックページから。
歴活イベントへの参加は申し込みフォームからお申込みくださいませ
金沢を古地図で散歩しよう!
最新の歴活情報はこちらの無料メルマガ「歴活通信」がオススメです!
登録よろしくお願いいたします!